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メンバーがよく口にする「今のAKB」とは何か——本田仁美が持ち帰ったものの正体

【組織考察】
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PURE LINKS — AKB48考察 2026.04

メンバーがよく口にする「今のAKB」とは何か——本田仁美が持ち帰ったものの正体

2026.04 組織考察 pure-links.net
4月19日の柱night。新井彩永が「どうしても君が好きだ」についてこう言った。「ダンスの今の良さが詰まってる曲だなって思います」。——では、「ダンスの今の良さ」とは何か。その正体を追うと、一人のメンバーの名前にたどり着く。
01

起点となる問い「今のAKB」を誰も定義していない

「今のAKB」という言葉がある。メンバーがインタビューや配信でよく使う言い回しだ。「今のAKBをもっと多くの人に知ってほしい」「今のAKBならできる」——節目節目でこの言葉が出てくる。

だが、誰もその中身を定義していない。「今のAKB」とは何が「かつてのAKB」と違うのか。何が変わり、何が残り、何が新しく生まれたのか。この記事ではそれを、過去との対比を通じて考えてみたい。

新井彩永が4月19日の柱nightでこう言った。「どうしても君が好きだ」は「ダンスの今の良さが詰まってる曲だなって思います」と。——では「今の良さ」とは何か。その答えを探すために、まずAKBが何を持っていて、何を失ったかを整理しておきたい。


02

かつてのAKBが持っていたもの数字で語れた時代、参加できた時代

まず、かつてのAKBが何を持っていたかを整理しておく。

総選挙。チーム制。握手会。前田敦子から指原莉乃へと続いたセンター抗争。ファンが投票という形でグループの物語に直接参加できた。誰が何位で、誰が何票で、誰が涙を流したか——すべてが数字と物語に変換されて、可視化されていた。

そしてAKBには「でこぼこ感」があった。ダンスが揃っていなくていい。歌が上手くなくていい。個性が尖っていればいい。スキャンダルもドラマの一部だった。「素人が成長していく過程を見せる」というコンセプトが、グループの魅力の核にあった。

ファンはその「でこぼこ」に自分を重ねることができた。完璧ではないアイドルを応援することで、自分自身が物語の登場人物になれた。それがAKBの最大の発明だったと思う。


03

AKBが失ったもの「事件が起きるグループ」から「何も起きないグループ」へ

2019年、AKB48選抜総選挙が廃止された。チーム制も休止された。コロナ禍で握手会が消え、坂道系との差は開いた。紅白から落ちた年もあった。

でこぼこ感も薄れた。個性よりも統一感。素人感よりも完成度。それ自体は悪いことではないが、「あのAKBらしさ」が薄まっていく感覚が、ファンの中に蓄積していった。

かつてのAKBは「事件が起きるグループ」だった。総選挙で番狂わせが起き、スキャンダルが騒動になり、卒業が事件になった。見ているだけで物語の中にいる気がした。それが今は、穏やかになった。良く言えば成熟、悪く言えば刺激がない。

「今のAKBをもっと知ってほしい」という言葉の裏には、「知られていない」という焦りがある。その焦りはおそらく正しい認識だ。


04

本田仁美が持ち帰ったもの「根も葉もRumor」と「本田警察」の起源

2021年4月、IZ*ONEが活動を終了し、本田仁美がAKB48に帰還した。

本田はIZ*ONEで何を学んだのか。本人はインタビューでこう語っている。「鏡と向き合って表情の練習をしたり、ダンスを自分で動画に撮って見直したりと、日本で活動していた時よりも自分と向き合うようになりました」。韓国の「チッケム」文化——一人の人間が曲の最初から最後まで映り続けるカメラ——が、本田に「個として見られる意識」を植え付けた。

帰還した本田がまず取り組んだのは、AKB48の楽曲「根も葉もRumor」の振り入れだった。「AKB史上最高難易度」と言われる楽曲だ。本田はここで、韓国仕込みのダンス指導を先輩メンバーに対しても容赦なく行った。間違えると即座に指摘した。柏木由紀でさえ”逮捕”された。これが「本田警察」の起源だ。

読者コメント(モデルプレス「ファンが選ぶひぃちゃん伝説5選」2024年1月)

「帰国して『根も葉もRumor』という楽曲の振り入れで韓国仕込みの指導を先輩メンバーにも容赦なく行い、間違えると本田警察が間違えを指摘したということに由来します。このおかげでAKB48のダンススキルは目に見えて向上しました」

→ モデルプレス(2024年1月)

本田が持ち込んだのは「寸分の狂いもなく揃ったダンス」という概念だ。K-POPが当たり前にやっていること——個人が全体の精度に責任を持つという発想——が、AKBに初めて本格的に持ち込まれた瞬間だった。

秋元康は「根も葉もRumor」についてこう語っている。「”過去のAKB48を超えないと”という想いがあって、今までで1番難しいダンスにしようと(振付師に)お願いした」。本田の帰還とこの方針が重なったことは、偶然ではないかもしれない。

ちなみに本田がIZ*ONE前からすでに「次元が違う」存在だったことは、当時のメンバーの言葉が証明している。2018年、「NO WAY MAN」の振り入れで本田と同じステージに立った岡田奈々はこう語っている。「ひいちゃんは覚えるのが早いしダンスも上手だし、何時間も踊ってだんだんみんなが疲れてくるなかで、3人はずっと顔色変えずに踊っていて、次元が違うと思いました」。その「次元が違う」メンバーが、韓国でさらに2年半磨いて戻ってきた。それが「本田警察」の正体だ。


05

AKBの文法との矛盾「揃わなくていい」グループだったはずが

ただ、ここで一つの問いが生まれる。

かつてのAKBは「揃わなくていい」グループだった。でこぼこが魅力だった。「根も葉もRumor」が話題になったとき、韓国のネットには「AKBの特色を失った」「かわいくてキラキラするAKBの魅力がなくなってる」という声もあった。本田仁美が持ち込んだK-POP的な「揃ったダンス」という概念は、ある意味でAKBの文法に反するものだったかもしれない。

しかしAKBはその方向に舵を切った。「どうしても君が好きだ」では振付にプロダンスチーム「Team”S”」が起用され、16人が精密にそろうサビの「印結びダンス」が象徴的な振りになった。さらに運営は1発撮りのダンスプラクティス動画を公開した。ミスを許さない、完成度を見せるという宣言だ。

MUSIC VIDEO
DANCE PRACTICE

本田自身はこの曲について「私はどちらかというとしなやかな振りが得意なので苦戦しました。サビのフロアで踊るダンスも難しくて、今も毎回、立ち上がれるか緊張します」と語っている。センターでありながら苦戦した曲を、本田は卒業コンサートのフィナーレに選んだ。「一番思い入れが強い楽曲」だと言って。その選択に、この曲がAKBにとって何を意味するかが表れている気がする。

本田が帰還した2021年以降、AKBの楽曲難易度は上がり続けた。「根も葉もRumor」から「どうしても君が好きだ」へ——その流れの先に、新井彩永の「ダンスの今の良さが詰まってる曲」という言葉がある。


06

OGたちが証明したもの20周年武道館で床に倒れ込んだ先輩たち

2025年12月6日。20周年記念コンサートのステージで、OG8人が現役メンバーとともに「根も葉もRumor」を披露した。高橋みなみ、小嶋陽菜、指原莉乃、峯岸みなみ、柏木由紀ら——全員30代だ。

曲が終わると同時に、OGたちは床に倒れ込んだ。息も絶え絶えだった。峯岸は「プレッシャーに耐え切れず、深夜に泣いた」と明かした。指原は個人的にスタジオを借りて練習した。この企画を提案したのは指原自身だ。高橋はSNSにこう書いた。「現役のメンバーが3カ月基礎練から作り上げた楽曲と聞いていたので、卒業生は7月からそれぞれ練習を開始しました。リスペクトを込めて必死に頑張ったこの期間は青春感あって楽しかった!!」

高橋みなみ(20周年コンサート後・時事通信)

「AKB48を卒業して限界を突破することがなくなって。現役のメンバーがすごく頑張っているから、『やらなきゃな』と思って(同曲を)やったのだけど、ちょっと体が…」

→ 時事通信(2025年12月)

OGたちが「根も葉もRumor」を選んだ理由は明確だ。高橋は「さっしーからの提案もあって、現役メンバーの曲をリスペクトを持ってやろうと思って選びました」と説明した。かつての先輩たちが、現役のダンスに敬意を示した。「今のAKBのダンスは、私たちが7月から練習して本番に臨むほどのものだ」という宣言だ。

OGが倒れ込んだあの場面が、今のAKBのダンスへの最大の評価だったと思う。言葉より雄弁だ。


07

本田仁美が去った後彼女が変えたものはグループに残った

本田仁美は2024年1月28日、AKB48劇場での卒業公演をもってグループを去った。

卒業コンサートのMCで、向井地美音はこう言った。「ひぃちゃんが戻ってきてくれてから、AKB48に新しい風をたくさん吹かせてくれて、AKB48を変えてくれた大きな存在だと思います」。これは先輩が後輩に贈るリップサービスではない。2021年以降のAKBを見てきた人間なら、この言葉の重さがわかるはずだ。

向井地美音(本田仁美卒業コンサート・ガルポ!)

「ひぃちゃんが戻ってきてくれてから、AKB48に新しい風をたくさん吹かせてくれて、AKB48を変えてくれた大きな存在だと思います。今日はその集大成をひぃちゃんだけじゃなくて、私たちも見せられた気がします」

→ ガルポ!(2024年1月)

本田が卒業した後も、彼女が植え付けた「ダンスの精度に全員が責任を持つ」という意識はグループに残っている。柏木由紀が「ひぃちゃんに怒られた。厳しくしてくれて嬉しい!」と笑いながら語れるのは、その指導が正しかったからだ。今の選抜メンバーたちが見せるパフォーマンスの水準は、本田が持ち込んだ基準線の上に立っている。

新井彩永が「どうしても君が好きだ」を「ダンスの今の良さが詰まってる曲」と言ったとき、その言葉の根っこには、本田がIZ*ONEから持ち帰ったものがある。そしてその曲は、本田が卒業コンサートのフィナーレに選んだ曲でもある。

「今のAKB」の正体

では「今のAKB」とは何か。改めて答えを出してみたい。

総選挙もチーム制もなくなったAKBが、それでも前に進むために選んだもの。それが「揃ったダンス」という新しい価値観だった。かつてのAKBは「でこぼこ」が魅力だった。今のAKBは「精度」を武器にしようとしている。どちらが正しいかではなく、時代とともにグループが変容したということだ。

その変容は誰かの号令で始まったわけではない。一人のメンバーが韓国から帰ってきて、先輩に容赦なくダンスの指摘をし、グループの意識を少しずつ変えた。本田仁美という個人の影響が、グループ全体の水準を底上げした。これは珍しいことだ。アイドルグループの文化がたった一人のメンバーによって変わることは、そう多くない。

かつてのAKBファンが「今のAKBは違う」と感じるとすれば、それは正しい認識だ。総選挙の熱量もでこぼこの親しみやすさも、今のAKBには薄い。その代わりに手に入れたのが、OGが深夜に泣きながら練習して本番に臨むほどのダンスだ。何かを失い、何かを得た。それがグループの変容というものだ。

「今のAKBをもっと知ってほしい」とメンバーが言うとき、彼女たちが誇りに思っているのはきっとそこだ。総選挙でも握手でもなく、ステージ上で寸分の狂いなく揃った、あのダンスのことを。

新井彩永の言葉に戻ろう。「ダンスの今の良さが詰まってる曲」。——その「今の良さ」は、一人のメンバーが韓国から持ち帰り、「本田警察」として叩き込み、そして2024年1月に卒業していったものの残り香だ。

本田仁美はもういない。でも彼女が変えたAKBは、まだここにある。

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コメント

  1. 匿名 より:

    ‪本田警察の話はここら辺ですね‬
    ‪https://www.oricon.co.jp/news/2234218/full/‬

    ‪個人的には”成長物語”がベースなのは変わってないと思いますが、ステージングもあの頃のままじゃ実質成長してなくない?と思っちゃうので、ちゃんとでこぼこの先として練度の上がったパフォーマンス、より歌唱重視の部分が増えたり”今のAKB”と言うのはより成長したAKBとして‬捉えてます。
    根も葉ももどうしても君が好きだも今までとは違う、曲としてもそういう進化を感じますから象徴的で好きですね。
    全盛期での人気や個性を切り離して見れば、AKBのパフォーマンスはちゃんと全盛期の先を行ってます。
    チーム8メンバーが改めてチームAKB4に入った時代を経て、1チームになったAKBは皆で同じ方向を向いてステージを作り上げるという形になった印象です。
    ちゃんとこの形態に順応していったのは流石ですが、春コンの最新のAKBではパフォーマンス練度を現代基準に調整している印象で選抜の歌って踊れるメンバーが中心となり、他メンのスキルの底上げを狙っている印象を持ちましたね。

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