有以推し席2位「愛の存在」
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2026
成美推し席4位「草原の奇跡」
AKB48 THREE CONCEPTS LIVEを見た感想 AKB48の主人公はまだまだ小栗有以と倉野尾成美だった
9月27日 推しが「好きish」コンサート推し席から始まった夜
2日間3公演、計111曲。新曲「好きish」以外は3公演でひとつも曲を重複させないという、AKB48としては初めての試みだった。コンセプトは春の代々木公演後のファンアンケートをもとに決められ、今回のアンケート結果が今後のコンサートの「軸」になるという。その最終公演が、27日の「推しが『好きish』コンサート」だ。
この日のコンセプトは「推し席」。ファンは推しメンバーごとのエリアに分かれて座り、メンバーはステージではなく、それぞれの推し席の中から登場した。1曲目の「好きish」を、45人が客席の真ん中で歌う。うれしすぎて前半はまともに歌えなかった、と伊藤百花が涙ぐんだほどの幕開けだった。
5曲目のあと、総選挙さながらに推し席ランキングが16位から順に発表され、上位16人で「フライングゲット」。そこから、順位ごとのステージが16位から1位まで続いていく構成だった。
小栗は中間1位から2位へ、倉野尾は3位から4位へ。数字だけを見れば、2人とも一つずつ順位を落とした夜だった。けれど、終わってみて記憶に残っているのは、その2人のステージだった。
推し席4位総監督の「草原の奇跡」
倉野尾成美の4位ステージは、ソロでの「草原の奇跡」。1人で立つアリーナのステージを、生の歌声で埋めていった。
この人の凄みは、自分の曲の時だけではない。他のメンバーが歌っている間も、ひな壇で誰よりも大きく踊り、客席をあおっていた。ファンの間では、ひな壇で荒ぶる総監督に隣の伊藤百花が驚いていた、という目撃談まで出ている。主役の曲でも脇の曲でも、同じ熱量でステージにいる。それが倉野尾成美という総監督だ。
推し席2位小栗有以の「愛の存在」と、あの口上
そして2位、小栗有以。星を散りばめた濃紺のドレスで現れ、ソロで「愛の存在」を歌った。個人的に、この3公演でいちばん泣いたのはここだ。
力強く歌い上げたその間奏。小栗は自分の推し席に「ありがとう」と伝えてから、声を震わせながら話し始めた。
「加入して12年。色んなことがありますが、苦しい時も、どんな時も、私はAKBが好きだから前を向いて来れました。これからも愛をもって、AKB人生を全うしたいと思います。ついてきてください!」
小栗有以/9月27日「愛の存在」間奏にて声は震えていた。それでも一語一語をはっきりと、客席に置いていくように話していた。話し終えたあと、目を潤ませたまま最後まで歌い切った。
言葉の力というのは、こういうことを言うのだと思う。ただ、あの言葉がなぜあれほど刺さったのかは、言葉そのものだけでは説明がつかない。あれは、小栗有以が12年間まじめに積み上げてきたことの、集大成だった。「AKBが好き」「ついてきて」——文字にすれば誰でも言えそうな言葉が、あれだけの重さを持って届いたのは、言った人がそれを12年間、行動で証明し続けてきたからだ。
翌日、小栗はインスタのストーリーズに衣装の内側の写真を載せている。そこには「渡辺麻友」の名前が入っていた。
2017年10月、渡辺麻友は自身の卒業コンサートのあと、当時15歳だった小栗を「王道アイドル」の後継者として名前を挙げた。「正統派の王道アイドル。私が思うまさにアイドル」——10年以上、AKB48で王道を貫いた人の言葉だ。小栗自身も、目標とする人に渡辺麻友を挙げ続けてきた。
小栗がそのジャケットを実際に着ていたのかどうかは、投稿からははっきりしない。それでも、推し席2位の夜に、かつて自分を見出してくれた先輩の名前が入った衣装の写真を選んで載せた。そのことの意味は小さくないと思う。9年経って、渡辺麻友はやっと、胸を張って「後継者」と呼べるアイドルを持てた。あの夜の「愛の存在」を見て、そう思った。
もうひとつ、個人的に思ったことがある。指原莉乃の時代、AKB48では「スキャンダルさえ笑いに変えて、自分の力で頂点まで勝ち上がる」ことが一つの正解になった。それはそれで、AKB48が生んだ新しい物語だった。実際、小栗自身も「指原さんがいなかったら今の私はいない」と語るほど、指原に育てられた一人でもある。
それでも小栗が選んだのは、まゆゆの側の道だった。真面目に、誠実に、アイドルであり続けることそのものが、いちばん強い——いつの間にか「古い」と言われかけていたその価値観を、小栗有以は12年かけて、もう一度AKB48の真ん中に取り戻したのだと思う。
12年の軌跡AKB48の「底」を、逃げずに背負ったエース
小栗有以の12年は、そのままAKB48がいちばん苦しかった時期と重なっている。
握手会がなく、総選挙もなく、「AKBはもう終わった」と言われ続けた数年間。エースを任される人が次々と去っていく中で、センターに戻ってきたのが小栗だった。AKB48がいちばん「底」にいた時期のすべてを抱えて、逃げずに真ん中に立ち続けた。そんなアイドルは、ほかにいない。
前夜の全員コンサートでも、小栗は本編の最後にこう話している。
「マイナスな言葉とも戦ってきました」
小栗有以/9月26日 全員「好きish」コンサートこの言葉のあとに歌われたのが、26日最後の曲「初日」だった。そして翌日の「愛の存在」で「ついてきてください」と言った。戦ってきた、と明かした翌日に、それでもこのグループで生きていくと言い切った。卒業の二文字が頭をよぎっていたファンにとって、これ以上ない答えだった。
ひとつ、書いておきたいことがある。その「底」の時期に総監督としてグループを預かっていたのは、向井地美音だった。握手会もコンサートも思うようにできない中で、グループを解散させず、次につなぐ——それは、目に見える成果が出にくい、とても苦しい役割だったはずだ。
いま小栗と倉野尾が輝いて見えるのは、AKB48がようやく底を抜けたからだ。そして底を抜けられたのは、底を「耐えた」人がいたからでもある。2人の時代を喜ぶことは、向井地の時代を否定することとは違う。耐える人がいて、立ち向かう人がいて、その先で今の景色がある。
アンコール「このメンバーと、ファンのみなさんと」
本編の最後は全員での「アリガトウ」。そしてアンコールで、総監督の倉野尾がマイクを取った。
3公演のなかでいちばんテンションが上がったのは「好きish」の時間だった、と倉野尾は振り返っている。ファンがコールを練習してきてくれて、みんなと一つになれていると感じた、と。そのうえで、こう言い切った。
「このメンバーと、ファンのみなさんと、東京ドームの景色を見たいです」
倉野尾成美/9月27日 推しが「好きish」コンサート アンコール2024年12月、総監督に就任して半年ほどのころ、倉野尾は初めて「東京ドーム」を目標として口にした。その時は、軽々しく言っていい言葉じゃない気がして、自分の口から言うのがすごく重かったと明かしている。その人が、Kアリーナを埋めた推し席に向かって、今度は「このメンバーと、みなさんと」と、一緒に見る人まで名指しして言った。「目標」を言う総監督から、「約束」を言える総監督になった——そんな瞬間だったと思う。
直後、スクリーンで2027年2月20日の代々木第一体育館公演が発表された。今年4月の春コンサートと同じ場所だ。倉野尾は「春コンサート以上に成長した私たちで会えるようにする」と誓い、「着実に一歩ずつ歩んでいきます」と続けた。3公演を終えた今の気持ちを「清々しい」と言えた総監督が、次の一歩をもう示している。東京ドームへ向かう道の、確かな次の一歩だ。
AKB48の主人公は、まだまだこの2人だった
推し席1位は佐藤綺星。センターは伊藤百花。22期生も4人加わった。AKB48は確実に次の世代へ動いている。それは健全なことで、喜ぶべきことだ。上が詰まったまま若い世代が育たないグループに、未来はない。
それでも9月27日の夜、物語の真ん中にいたのは小栗有以と倉野尾成美だった。底を逃げずに背負ってきたエースと、「このメンバーと、みなさんと」東京ドームを約束した総監督。順位はそれぞれ一つずつ下がった。けれど、あの夜の会場の空気をいちばん大きく動かしたのは、間違いなくこの2人の言葉だった。
考えてみれば、今のAKB48の若い世代が「推し席1位」や「2作連続センター」という物語を手にできるのは、グループがもう一度、物語が生まれる場所に戻ってきたからだ。握手会が止まり、総選挙がなくなり、「終わった」と言われ続けた数年間。その間もグループが崩れなかったのは、向井地美音が耐え、小栗有以が真ん中に立ち続け、倉野尾成美が次の総監督として準備を重ねてきたからだと思う。佐藤も伊藤も、2人が守ってきた土台の上で輝いている。
小栗の「愛の存在」を聴きながら、ずっと考えていた。12年前、東京代表として12歳でチーム8に入った少女が、まゆゆに王道の後継者として名前を挙げられ、16歳でセンターに立ち、グループがいちばん苦しい時期にもう一度センターに戻り、20周年の顔を務め、そして今、「AKB人生を全うしたい」と言っている。こんなにまっすぐな物語を、今のアイドル界でほかに見たことがない。
倉野尾もそうだ。熊本代表としてチーム8に入り、シングル選抜に初めて名前が載るまでに4年かかった。総監督になってからは劇場公演を立て直し、夏には生歌の公演を自らの手で作った。そして今度は、東京ドームを「いつか」ではなく「このメンバーと」と言えるところまで来た。2人とも、近道をしてここまで来た人ではない。だからこそ、あの夜の言葉には嘘がなかった。
エースと総監督。同じ日に始まった同期の2人が、グループの「顔」と「背骨」をそれぞれ引き受けている。この形には見覚えがある。1期生として同じ日にAKB48を始め、センターとして前に立ち続けた前田敦子と、総監督としてグループを背負い続けた高橋みなみ——「あつみな」だ。
前田が真ん中で光を浴び、高橋がその後ろでグループ全体を引っ張る。どちらか一人では成り立たない関係だった。今の小栗と倉野尾も同じだ。小栗が「ついてきてください」と真ん中から呼びかけ、倉野尾が「このメンバーと、みなさんと」と全員を東京ドームへ連れていこうとする。「ゆいなる」は、まさに令和の「あつみな」だった。9月27日の夜、それを確信した。
いつか2人がいなくなる日は来る。それは分かっている。ステージで一人になるたびに「卒業発表では」と身構えてしまうのも、きっとしばらくは続く。ただ、それは今ではないと思いたい。2027年2月20日の代々木第一体育館にも、そしてその先にあるはずの東京ドームにも、できれば2人並んで立っていてほしい。佐藤や伊藤や22期生たちが真ん中に立つ日が来るとしても、その景色を2人が隣で見届けてから、であってほしい。
2014年に始まった2人の物語は、まだ終わっていない。「ついてきてください」と言われ、「東京ドームの景色を見たい」と言われた。ならば、ついていくしかない。AKB48の主人公は、まだまだ小栗有以と倉野尾成美だ。
「愛の存在」も「草原の奇跡」も、Huluの見逃し配信で見返せます。配信は10月27日(火)23:59まで。単公演券は各3,900円、3公演セット券は7,500円(税込)で、チケットは10月27日21:00まで購入できます。
3公演セット券には、メンバーと一緒に公演を振り返る「ウォッチパーティー」も付いています。27日の推しが「好きish」コンサートの回は10月13日(火)19:00から、千葉恵里・武藤小麟・佐藤綺星が出演予定。全員コンサートの回(10月5日)には倉野尾成美も出演予定です。
配信・チケットの詳細はこちら(Hulu)本記事のコメントは、各メディアの公演レポート、公演配信、現地参加者の声をもとにしています。内容に誤りがあればコメント欄で教えてもらえるとありがたいです。



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